ごった煮

言いたいことを放り込む。

V6 『Super Powers / Right Now』感想

 

 

 改めて、V6の50枚目のシングル『Super Powers / Right Now』の収録曲がどれも素晴らしく、聴いていてものすごく楽しいので、そのテンションのまま各曲についての感想を書き殴っておこうと思います。お察しかと思いますがとにかく賞賛しているだけの無駄に長い文章です。加えて、またしても細かい話になると思われます。それでも興味のある方はぜひどうぞ。

 

 

 

M1.Super Powers

 

 まずは「Super Powers」。ワンピース主題歌ということもあり、とても爽やかで前向きな曲。打ち込みのビートやギター、シンセなどの電子的なサウンドと、ストリングスやグロッケン?などの生楽器。これらの、色々と盛り込んだ豪華で分厚いインスト、そしてコーラスが冒険の高揚感や広がりのある世界観を表現していて素晴らしい。

 個人的に大好きなのが、Cメロ「愚かで愛しい僕達の~…」でエレクトロなサウンドのみになり、ちょっと勢いが収束したかと思えば、続く落ちサビ「戦え 最強の~…」でピチカートと生っぽさが感じられるドラム音が残ったインストになるという対比。からの駆け上がり~大サビの開け方!ストリングスの悠々としたメロディラインに広がりが感じられて大好きです。そしてこの部分の坂本くんの、のびのびとしたフェイクがまた素晴らしくてな…。エモい。

 あとは、前記事でも少しだけ言及しましたが、なんと言ってもユニゾン!剛健成分が作用しパキッとしていてエッジが強く爽やかで、かつ一人ひとりがちゃんと粒立っていて厚みを感じられる素晴らしいユニゾンに、6人の声とミックスチームの采配に賞賛を贈りたい。グッジョブ…!

 歌割りもトニカミ分けで非常に良いですよね。個人的にサビの「失敗も妙に魅力的(チャーミング)」っていう歌詞が、初めて聴いたときにすごく印象に残りました。人間らしくていい歌詞だし、V6が歌うとなんだかとても説得力があるなあと思えて大好きな歌詞です。

 

 

 M2.Right Now

 

 そして両A面もう一曲の「Right Now」。散々たくさんのV6ファンが言っているんだとは思いますが私も言いたい。清水翔太さんに贈答品を贈らせてくれ。

 なんて素晴らしい曲を提供してくださったのでしょう清水翔太さんは…!「Super Powers」との対比も鮮やかだし、何よりまず最初に音質がクリアなCD音源で聴けたときに1番思ったのが、「ミックスが素晴らしい…!!」ということ。

 それはまた後述するとして、まずこれまでのV6の楽曲に、これほどアンビエントでダウンビートな印象のものがありそうでなかったような気がする(物凄く曖昧)!という気付きと喜びがありました。こういう曲だと歌唱力がもろに試されてしまうんだと思うんですがそれをしっかり全員が歌い遂げてしまう自担G凄いと思いました。

 ボーカルのメロディラインやコーラスにも細かい技術と遊びが散りばめられているなあと思ったし、これ私毎回言ってる気がしますが表現力!静謐で、でも内に強い思いを秘めている、みたいな歌い方が本当に上手い…!聴き入ってしまう。こういう曲を、どのグループアーティストでも歌えるなんてことは絶対にないと思うんですよ。こういった世界観を表現するためには、歌声のトーンというか、テンションにある程度の統一感が無ければならないし、それは表現力も同じだと思うんです。

 ちょっと話逸れるかもしれないんですけど、V6のグループとしての歌唱力・表現力の高さを考えるうえでポイントになるのかなと個人的に思っているのが、発声・声の投げ方の緩急。それって多分生まれ持った声と歌い方にもよるんだと思うんですが、なんというか、V6は全員がそのスキルを会得している奇跡のような集団なんじゃないかと思うんですよね。

 例えば声の投げ方イメージをざっくり2つ挙げると、球速に多少変化は付けられるものの投球はまっすぐストレート、つまりテレビ音量の上げ下げのように声全体のボリューム調節は出来るが抑揚はあまりなく、スコーン!と声を出す歌い方と、球速を抑えたり変化球を投げたりするように、言葉やフレーズで声の出し方・圧、トーンにも抑揚をつけられる歌い方、みたいな。野球詳しくないのに野球で例えてしまった。

 で、恐らくですが前者は後者のような歌い方を会得するのがなかなか難しく、後者は前者のような歌い方もやろうと思えばできるのだと思います。つまり、程度に差はあれ、V6は全員が後者だと。前者が必ずしも悪いと言うつもりはもちろんありません。まっすぐ心に響いてくる歌声にはやっぱり力があるし、その人自身の素直さや真っ直ぐさが歌に表れているようにも感じます。ただ、曲調の幅と考えるとやっぱり後者であるほうが守備範囲を広くできるのではないかと思うのです。しかもグループアーティストで、それが全員に備わっているとなると、強みは相当なものではないかと。そういったことを考えると、「Right Now」はV6だからこそ歌いこなせる曲であると言いたくなる!そういうことです。ご清聴ありがとうございました。 

 まあまだ語るんですけれどもね。続いてミックスについて。ミックスの何に感動したかというと、インストのメロディや楽器を、アンビエント(ここでは、ぼんやりとした音にして響かせることで空間に馴染んだように聴かせることを指しています)にするかクリアにするかという取捨選択と、ボーカル・コーラスの配置(真ん中にどの声を置くか、右側に誰を置いて左側に誰を置くか…など音の広がりの調整や位置の振り分け)の妙。

 声の配置について面白いなと思ったのが、Bメロ部分や、ラストの「小さなサイン~…」部分以降の歌唱とフェイクの掛け合い。大抵の楽曲において、メインのメロディは真ん中から聴こえてコーラスやフェイクは左右、あるとしても、フェイクがメインと同じ真ん中から聴こえる形がとられていると思うのですが、この曲の上述のパートでは、例えばBメロ「触れそうで 触れたくて 知れそうで 知れなくて」っていう歌詞部分のボーカルが左右に振り分けられていて、間に挟まれる合いの手的な坂本くんのフェイクが真ん中から聴こえるという、通常の逆パターンになっているんです。その事で、夕ドロの歌う歌詞部分がむしろコーラスで坂本くんのフェイクがメインであるかのように感じる。というか、続く坂本くんパート「そんな2人だから楽しい」っていうメインメロの聴こえ方が真ん中に戻っているので、Bメロ自体を、ラストワンフレーズを除いて、坂本くんのソロパート+夕ドロによるコーラスとハモリと思うのが正しいのかもしれない。2番のカミセンも健くん+剛准で同様。ここの仕掛けが物凄く興味深いし聴いていて楽しいなと思いました。あと配置の話ではないのですが、ボーカルで言えば「誰にも渡さない」にノイジーなエフェクトをかけるという選択も天才だと思います。

 インストに関しては、一部を除いたビートやクラップなどのリズム系と、アクセント的なメロディライン、あとはなんと言ってもピアノがクリアに聴こえるミックスになっています。めちゃくちゃ効果的だなと思って大好きなのが、井ノ原くんの「例えば大切な 何かを失ったとしても」というパート直後のピアノのメロディ。そこまでに登場するピアノはどちらかというと伴奏的な、和音でコードをとる演奏で、音域も目立たない低めの位置だったんですが、その部分だけは数オクターブ上の音域でしかもメロディをとるという…そしてそのフレーズがエモすぎる…!この部分、CD発売前のテレビ初披露パフォーマンスで初めて聴いたとき仰け反りました。

 余談ですがパフォーマンス時にここのフレーズで剛健がターンを入れていたのがさらにエモに拍車をかけていて最高でした。音を拾って身体で表現するのに長けた人達なんだなあと思えてここを見る度に胸を打たれる。あと曲とダンスという点で言うと、いわゆる「サビに歌詞がない」構成の曲、ダンスグループにめちゃくちゃハマるなと思っていたのでぶいさんでそれが見れて本当に最高です。その部分を目掛けて歌で気持ちを高揚させておいて、ピークにさしかかると弾けたようにガシガシ踊り、ダンスのみで感情表現をする。まさにV6向けの曲構成という感じ。本当に清水翔太さんには足を向けて寝られない。なので、音楽番組では「Right Now」ももっと見たかったんですけどね…そこはまあしょうがない。

 

 

M3.LADY,LADY,LADY / 20th Century

 

 なんて言えばいいんでしょうね。この曲に関しては完全に語彙力が感覚に追いついておらず、うまく言葉で表現できないかもしれません。それでも曲を聴いた第一印象を言葉にしようと試みると、「3人が淡々とこちらに何か語りかけてくるけれど、実はその中で重要なことを言っていて、それを聴き手である私は聴き逃したのではないかと曲が終わった後に焦りを感じる」という感じでした。意味わからんな。

 とにかく捉えどころがない。私が初めて聴く曲の歌詞を意味としてでなく音として捉えてしまう傾向にあるにしても、曲の雰囲気と歌声に飲み込まれて歌詞の意味を噛み砕くまでに至れないというか…なんだか洗脳みがあるというか…。トニセンが何かを言っているけど水の膜で隔てられた向こう側にいるから聴こえないという感じ。聴こえてきても拾えた言葉が独特でインパクトの強い言葉(たとえば「ボール紙でできた月」「古い神話 女神像」とか。歌詞も改めて聴いてみると土岐麻子さんの言葉選びがとても秀逸だと思った。)なので余計に謎は深まる、みたいな。うーん余計わかりにくいか。でもなぜかこの曲からは「抑制されている」というイメージが想起されるんですよね。私だけですかねこの感じ方。ただ一つ確実に言えるのは、中毒性が半端ではないということ。

 やっぱりこの曲において、伴奏的ではない歪んだギターの存在が明らかに異彩を放っている感じがして、井ノ原くんの「cause you're a woman なんて言葉〜…」というパート前の間奏、バンドサウンドでなく規則正しい電子的なサウンドの中ギターソロが暴れまわっているという構図が本当に面白くて、かつこの部分に一番電子ドラッグっぽさを感じます(褒めています)。

 あと歌割りも面白いなあと思いました。特に2番以降。2番に差し掛かってから、坂長が細かく歌いつなぐな〜、やっぱちょっと声似てるよなあこの2人…などと思っていると、あれ?井ノ原くん出てこないな??と気づき、しばらくしても出て来ず間奏明けに登場という流れ。ここの井ノ原くんの歌い方が大変な色気で、それまでの焦らしもかなり効いていて、かなりインパクトがあるなと思いました。

 ボーカルも大変素晴らしく、トニセン三者三様の歌い方の違いがよく出ていてものすごく好きです。特に長野くん、なんでそんなに可愛らしく歌うことができる???その歌い方で「見ているよ 聞かせてよ その生きづらさのわけを」などとおっしゃるので、この曲の歌詞の視点を考えたときに、人ならざるもの感を強く感じてしまい「この曲のトニセンは神様視点なのか…?」と考えてしまうわけです。坂本くんが秘めやかに優しく、長野くんが軽やかに可愛らしく、井ノ原くんがザラついた色気で歌い上げる「その 指で 破こうとしてる(んだ)」が最高すぎる。トニセンのこれまでの歩みに思いを馳せたくなるほどのバランスの良さ。

 

 

M4.そんな顔しなくたっていい / Coming Century

 

 この曲を聴いてすぐ思いました。かわいい、と。すみません浅はかな感想で…。でも思ってしまったんです。もはやイントロからサウンドが可愛らしくて、それだけでも気分がちょっと軽くなる気がしました。曲調だけでいうと、休日のお昼のような期待感とほのかな気だるさというイメージ。ドライブをする3人を思い浮かべてしまえたほど、しっくりきている曲と歌声。カミセンとバンドサウンドの相性の良さって何なんでしょうね。「テレパシー」も然りですし。こう考えると「Get Naked」から「そんな顔しなくたっていい」の振り幅の大きさがすごい。

 関係ないんですが、トニカミ曲が出るたびに私の頭の中のトニセンが「カミセンもこういう曲歌える歳になったんだね〜」としみじみしています。これトニセンが、カミセン曲が出るたびに毎回言ってるイメージなんですが記憶違いでしょうか…笑。

 この曲の、ラップとまではいかないものの、メロディに対して歌詞を詰め込んだ部分の歌い方が3人とも上手いなあと思います。メロディの変動も激しいのでかなり歌うのが難しそうだと思うのですが、それを軽やかに表情をつけながら歌うカミセンすごいと思いました。この曲の岡田准一の歌い方、甘い上にお茶目感も出ていてものすごく好きです。「ここからもう一度だけ」の「んもぉいちどだけぇ」っていう歌い方がこの曲の個人的・末っ子ベストソロパートです。歌い方の幼さで最年少を感じるってなかなか珍しいことでは?と思ってニヤニヤしてしまいます。逆に健くんは今回、比較的甘さ控えめで優しさが前に出ている歌い方な気がします。

 サビは健くん岡田くんが主旋律、剛くんがオクターブ下という分かれ方になっていて、主旋律がちょっと高めのキーをとっているからか、いつもの2人の声とまた違う雰囲気の声になってます。2人とも張り上げる歌い方でなく、優しい高音の出し方にしている気がして素敵だなと思いました。そして低音の剛くんもまた優しい声で歌っている。この曲において剛くんがずるいのは、散々下ハモで歌ってきておいて、最後の「ああ うぉーうぉーうぉー」だけ主旋律で、しかもソロで歌うところ。これはもう、確実に森田剛の声の甘さでトドメを刺しにきてるんだと思います。制作側やりおる。

 

 

 

 めちゃくちゃ文字数が多くなってしまいましたがこんな感じです。とにもかくにも、今回も素晴らしいシングルをありがとうチームV6!という気持ち。もしV6の音楽性を知らずにこれを読んでくださった方がいらっしゃったのなら、シングルA面でなくカップリング曲に彼らの音楽性の真骨頂が見え隠れする場合がむしろ多いということをお伝えしたい。とんでもない曲をカップリングで出してくるぞ!音楽への向き合い方もまた真摯な彼らなので、少しでも気になった方は色々聴いてみて損はないと思いますよ!

 

 

公式MV

youtu.be

 

 

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各曲の試聴はこちらから

avex.jp

 

 

V6の音楽は、いいぞ。