V6アルバム『The ONES』感想メモ
これからここに書き残すのは、私にとって、ある種遺書ともいえる文章です。
この記事は、コンサートに参加してライブパフォーマンスを目にする前に、2017年8月9日に発売されたV6のアルバム『The ONES』の、曲とMVのみを見た状態で感じた「今」の印象を書き留めておきたいと思ったので書いています。おそらく、ライブを見たあとに「今」の私はこの世にいないので…というと大げさですが、ライブの後で印象が変わる曲も多々あるでしょうから、忘れる前に書き残しておこうという魂胆です。だから、「遺書」。見た後も見た後でその印象を書き残しておきたいとは思っております。
そんなこんなで近年本格的にV6に落ちた不肖わたくしが、独自の価値観と視点でこのアルバムの感想を書いてみようと思います。対外的な言葉で書いてますがもはや自分用メモです。思ったことほぼ全部書くのでクッソ長いですけど、興味があれば見てみて下さい。
そして書き始めるにあたって、今回のアルバムについてそもそも何も知らないという方には申し訳ないのですが、このアルバムがいかに豪華で類を見ないほど無茶な内容であるかということについては、ここでは詳しく触れずにおきます。それに関してはぜひとも下記掲載のアルバム特設サイトを参照していただくか、道行くV6界隈の人間を捕まえて聞いて頂きたいと思います。「V6のアルバム、どのへんを無茶してんの?」とでも聞けば嬉々として教えてくれるでしょう。
M1.never
幕開け感。MVもダンスのシーンを様々なアングルから撮ったもので、別撮りのメンバーのリップシンクを入れ込むことのないシンプルかつ見応えのあるものになってます。テレビでのパフォーマンス曲も大体はこれだったので、ダンスと強く結びついている印象。ダンスミュージック然としていて、でも耳に馴染みやすい。個人的に、この曲において何が異質かって言うと、パフォーマンスの話になってしまうのですが、フォーメーション。アイドルですから、やっぱり顔が見えるよう全員が前を向いた隊形が普通だと思うんですけど、ことこの曲…というよりV6は、背を向けたり前後の人と被って見えなかったりする隊形が多々あります。でも本人たちは特にフォーメーションを売りにしてる感じはなくて、だから「複雑なフォーメーションに注目!」みたいな謳い方をあまりしない。これはまさに、ダンスグループと言われるV6の職人気質が出ている部分だと私は思っていて、極端に言うと「個々のアイドル性<全体のパフォーマンスの完成度」で、それを当然と思っているような感じ。だから平気で暗い照明とか使って顔を見えなくしちゃう。そういった部分もあり、ダンスを含め、この曲が「V6にしか出来ないもの」になってる気がします。
M2.刹那的 Night
「せつな」「てき」の言葉遊びから始まる独特な世界観。面白い曲の展開だなあという印象。「タンバリン打ち鳴らし…ありのままさらけ出し」のパートで盛り上がっておいて「刹那 night」に戻って落ち着きを取り戻す感じとか。独特でありながらもやっぱりダンスミュージック感があり、「V6ぽくないな」という感想は抱きませんでした。癖が強いけど癖になる曲。あと、歌詞のある曲って大体、聞いた後に何かしら歌詞から感じた感情が残るはずなんですけど、この曲は聞いた後「…何だったんだろう」ってなるような、そんな歌詞の世界観。これに関しては私の読解力不足かもですし、感じ方は人によりけりなんでしょうけど。プロデュースした岡田くん(不思議っ子)の思考回路の深淵を見た気になるような、捉えどころのない曲です。しかし、これをMステで披露すると決めたV6はとても攻めてますよね。痺れます。各方面の反応が楽しみです。因みにリアタイできないので私は録画です。
M3.SOUZO
M4.Beautiful World
M5.Cloudy sky
M6.DOMINO
M7.Round & Round
M8.Remember your love
健くんがラヂオで音源を解禁してくれたあの日の第一印象から決めてました。ってくらいまずメロディがドストライクだった曲。イントロと、井ノ原くんの「woo…」部分からもう好き。流れ的には、ここにきて初めて切ない曲が来て、また一つ、「V6の表現の幅」の中に切ないラブソングが追加されるという感じ。そしてこの曲調でわかる、彼らの感情の込め方の上手さよ!特に、AメロBメロからサビへの感情の高め方。先ほど彼らのユニゾンについて触れましたが、この曲のサビのユニゾンでは、明るさや爽やかさが影を潜め切なさが表立っていて、地声と裏声を切り替えながらの歌い方がさらに優しい響きを生み出しています。個人的には、歌詞にこの曲プロデュースの健くんみを感じます。「飛び立ったロケットは…」のところとか。すごく好きです。この曲はきっと、振りがつくとまた印象が変わるんじゃないかなあと思います。
M9.会って話を
この落差。前曲が現代的で洒落た雰囲気だったのに対し、この曲はどこか懐かしいサウンド。そしてトニセンのぽつりぽつりとした歌い方に感じるポテンシャルの高さ。トニセンほんとそういうとこあるよ…。楽曲提供がキリンジの堀込高樹さんですし、マニアックな層にとても受けそうな曲。この曲のキリンジ臭ほんと凄いですよね。アルバムの流れ的にも、音楽性として振り幅が反対側に行った感があるんですけど、トニセンと堀込高樹さんのタッグという流れでも、前作「不惑」とはまた違う方向に行っているのが面白い。「不惑」では堀込さんは作詞のみ、というのもあると思うんですけどね。にしても「滞った血を 滾らせたい もう一度」からの「会って話したい でも会うのは怖い」の落差である。この曲全てにおける長野博の声・歌い方が好きです。とても好きです。
M10.Answer
「バンドを背負ってシャウトするメンバーが浮かんだ」というところから坂本くんがプロデュースした曲ということもあり、とても熱い仕上がりになっている曲。しょっぱなの坂本くんのフェイクからぐっと引き込まれる感覚です。「ダンスミュージック」ぽさを捨てたV6はこんなにもエモい。この曲もまた強いメッセージ性を感じますね。個人的に面白かったのがサビの歌割。これ、MV見るまでは「フレーズごとにユニゾンの響きが違うけどどういう歌割?」って思ってたんですけど、見てから納得。坂本くんを中心に据え置き、フレーズごとでほかのメンバーが入れ代わり立ち代わりしていたんですね。これに気付いたときは坂本くんの格好良さに痺れました。あんた…やっぱりリーダーだぜ!そしてそんな歌割がラストサビで全員のユニゾンになる。Cメロ~ラストサビにかけてのギターソロでの盛り上がりの後で来る、全員のユニゾンのインパクトの強さ。そこから盛り上がりが最高潮になったかと思えばアウトロはその余韻を残しつつキレイめなピアノで締めています。すごい。
M11.Can't Get Enough
衝撃のシングル。この曲を音楽番組で披露するたびにファン以外の人もざわざわしていたので、V6ファンは「見たか!これがV6だ!!!」とさぞ得意げになったことでしょう。私もです。オクターブで進行するメロディとファルセットがJPOP離れした楽曲を演出しています。前曲「Answer」との落差もまたすごいですね。曲の振り幅が行ったり来たりです。これに関してはダンスやMVについても言及したくて、激しいダンスでなく大人の余裕と色気が溢れるダンスになっています。まいったぜ、これはV6にしかできねーわ、とわけもなく降参したくなるパフォーマンスです。個人的に死ぬほど格好良いと思った部分は2番サビの振り。「Can't Get Enough(満ち足りていない)」と歌っているのでこちらにすがってくる体なのかと思いきや、椅子を効果的に使いこちらを挑発してくるようなこの余裕。普段わちゃついている6人は見る影もありません。強い…!と思いました。
M12.Get Naked
この曲は完全に邦楽離れした雰囲気ですね。アルバム発売前にラジオ等で楽曲の解禁がなかったためにファンに与えた衝撃がひときわ大きかったように思います。カミセンの前作「テレパシー」で「ん~バイバイしなきゃね~カミっこよしよし」とカミセンモンペと化していたファンもこの曲を聞いて「ヒエッ…」と言語能力を失ったことでしょう。私もです。カミセンの歌声と表現力に死ぬほどマッチしています。それぞれのソロの歌い方とサビのオクターブ違いのユニゾンがとても様になっていて、この曲をカミセンのものにしています。これ…もしライブでやるならどんなパフォーマンスになるんでしょうか…。想像もつきません。ただ、目と耳と言語能力を持っていかれるということだけはわかっていますね。ここまで聞き進めたV6初心者はV6の曲の音楽性の広さに加え、トニセンカミセンでまた毛色の違う曲が聞けるということに気付いたことでしょう。この曲層の厚さこそ沼への入り口の一つなのです。
M13.ボク、空、キミ
ヒーリング系V6ここにありという感じ。疲れた時に聞くと心が浄化されていくような、優しく暖かな歌声。歌詞もあってか、何だか泣けてきます。そしてまた一つ広がる表現の幅。優しいバラードだってものにしてしまいます。この曲は特に、ゆったりとした曲調なのでメンバーの歌声が目立ちます。こういう曲調なのにエフェクトがかっているのも面白い。Aメロ部分の長いソロパートを歌う剛くんと井ノ原くんのぽつぽつとこちらに語り掛けてくるような、でも感情の乗っている歌い方は筆舌に尽くしがたい素晴らしさで、岡田くんと三宅くんのBメロ部分は、サビに向かってはいるものの途方のなさを感じるメロディを歌うそのファルセットのやさしさ。展開部の坂本くんソロは大空を思わせるような雄大な歌い方で、間奏後の長野くんパートは転調し壮大になるラストサビ前の美しい余韻を余すことなく表現しています。このソロパートの歌割りもとても秀逸ですよね。V6の音楽を知らない人は、この曲が森田剛のプロデュース曲だと知れば驚愕するでしょう。とにかく聞いてくれ!!と押し売りしたい気持ちでいっぱいです。あと、大橋トリオの曲も聞く私にはとても嬉しいコラボでした。
M14.COLORS
最新シングル曲。それぞれの色で輝こうというメッセージは、彼らが歌うからこそ良いという部分もあると思います。ここにきて一度、大衆の「V6の曲イメージ」にわりかし沿っている曲に戻ってきたわけです。感動のバラードという感じ。ストリングスを使ったサウンドによる壮大さがすごい。この曲と「太陽と月のこどもたち」が両A面となったシングルもまた完成度の高い1枚で、V6の特徴「カップリング曲のクオリティがとても高い」を体現していると私は思います。この曲を王道バラードとするなら「太陽と月のこどもたち」は温もりソング、「GOLD」はほわほわテクノ、「SPARK」はゴリゴリエレクトロという感じの1枚。これはひどいネーミングセンス。聞いていない人には、とにかく聞いて各々感じてくれという投げやり感で強くおすすめします。
M15.レッツゴー6匹
この落差(6曲ぶり2回目)。曲前の全員でのコーラスはとても微笑ましいうえ美しい響きで、いざ始まった曲も楽しい仕掛けが満載。全てにおいてユニゾンで進行するこの曲は、これまでに歌った曲たちのタイトルやそれに関連するもので歌詞がなりたっていて、そんでもってそのことについて「キミは気づいてるかな?歴史ちりばめたこと」って曲の中で言及しちゃうのもお茶目で面白い。歌も、イノッチ撮影のMVでのムービーものびのびとしている感じが出ていてとても良いですよね。聞いていて自然と笑顔になるような、陽のオーラ溢れるV6になっています。ていうかそもそもタイトルからして可愛いですよね。「レッツゴー6匹」て。楽曲解禁前、タイトルだけ見ても井ノ原快彦プロデュースだわこれ、という感じがありました。V6のユニゾン大好き芸人としては、ライブの際に生歌で一曲分、全員のユニゾンを聞けるのが本当に楽しみです。きっと音源とは違う声の配合のユニゾンが聞けることでしょう。
M16.The One
アルバムのタイトルを、ラストでようやく回収です。長い旅でしたね。耳に馴染みやすいこの曲の歌詞、シンプルですがとても説得力があり、かつ「僕ら」をV6とファンあるいはV6のメンバー同士どちらにでも投影できるのがとてもいいですよね。「離れてても 会えなくても 僕らはひとつさ」。これほどアルバム「The ONES」のラストにふさわしい曲があるでしょうか、いや…ない!(反語)この曲で締めるこのアルバム、ここまでの15曲を振り返るとまるで一つのストーリーのように感じませんか。 さながらこの曲は晴れ晴れとしたエンディングです。「会えなくなるけどさよならじゃないよ」感のある歌詞、V6ファンの皆さんの涙腺に直撃したことでしょう。私もです。明るく希望のある曲でも泣かせにかかるV6のみなさんです。個人的にこの曲のメロディが大好きで、サビ前にわかりやすく盛り上がらないところがなんかいい。「共に共に歩んでいこう Be together We are the one」と、これから先、共に歩む未来があることを示唆してアルバム『The ONES』の幕が下ります。
長かったのはこのまとまりの無い文章の方ですね。さぞ読みづらかったことと思います。これだけ書いていても、曲を聴いて感じたこの感情を正確に言葉にできずもどかしいのですが、それを言葉に出来たとしても所詮私の語彙力ですので完全に人様に伝えきることは出来ないのでしょう。共感を得られる感性を私が持ち合わせていたのかも微妙ですし。でもとりあえず、ライブ参戦前に書ききれてよかったです。悔いなし。
もしもこんな拙い自分用メモが、まだV6をしらない誰かの目に入ってその人の興味を引き出せたなら、それほど嬉しいことは無いです。さらに悔いなし。
そして、このような素晴らしいアルバムを「無茶」して完成させたうえ、ライブパフォーマンスでまた一味違うものを見せてくれるであろうV6と、これから先も、「共に共に歩んでいこう」と思います。その第一歩として、私は明日、「今」の私の死地・コンサートへと赴くのです。
筆者:V6初出場の紅白で落ちた新参者。まわりにぶいファンのお友達がおらず、溢れるほどの情熱を胸に抱きしめたまま沈黙してきたが、最近になって140字の制限付きで思いの丈を吐き出し始めた。さながら公害である。今アルバムを聴いて、それでは飽き足らずこのようなものを書くに至った。これを書き上げた翌日にコンサートに参戦することが決まっている。余命残り僅か。