V6 『ある日願いが叶ったんだ / All For You』感想
2019年6月5日発売の、V6・51枚目のシングル『ある日願いが叶ったんだ / All For You』を入手し全てを視聴したので、いつものごとく自分用メモとして感想を書き残しておこうと思います。今更感と、殴り書き感がすごい。
M1 ある日願いが叶ったんだ
音楽番組やラジオで曲の全貌は知ってはいたものの、音源で聴くと細かいサウンドが面白いとわかり良い。ギターの音色とか。あとやっぱりものすごくキャッチーで頭に残るメロディが素敵です。あとコーラス(というかハモリ?)はRYOJIさん?ケツメイシみを感じるお声が聴こえたので。ちがったらすみません。
そんでやっぱりユニゾンが綺麗すぎるんじゃあ…。音域のバラけ方が素晴らしく、厚みがある。伸ばす音(例えば「守りた~~あ~あ~い」とか)の融和がすごい。耳馴染みが良すぎてASMRか。これは。
このユニゾンはステレオ的に声が左右配置された広がりのあるユニゾンで、音量バランスは割と並列?印象としては、キーが少し高めなのもあり剛健のエッジが効いているパキッとしたユニゾンという感じ。そんでメロディの変遷で全員の声が各々顔を出す。高音で剛健が聴こえ、サビ頭のキーでは長岡が左右で結構しっかり聴こえる。そして坂イノは低音で支える。後方支援感。それが少し離れたとこからふわっと聴いたら、全員の声が混ざって溶けた、「V6」っていう人格の声になってる。凄いな~相変わらず声の相性がよ~~〜〜〜!
この曲で好きなのは、やっぱりカミセンのラップパート〜トニセン各々のソロパート部分。ラップパートでちょっと曲調が変化するの好きです。ちょっとやんちゃっぽくなる。ここをカミセンのみのラップにするというのがもう、わかっていらっしゃる。そこからのトニセンの伸び伸びとしたパート。こういうトニセンとカミセンの使い分けとか各メンバーへのパート割り当て、各自の声の特性が活かされるものになっているのが本当に素晴らしい。
M2 All For You
この温度差。そもそもサウンドがハチャメチャに良くて、AmPmさんほんと…さんきゅー…。インストのみで聴いても本当に素晴らしい。
音源で聴くとより分かる曲の良さ。温度感が最高。音を厚くするとこ、薄くするとこの取捨選択が良すぎる。1コーラス目だけでもそれがよく分かって、歌い出し~長野くんパート「I see you looking at me」までが薄め、からの剛くんパート「I'm gonna gonna…」で低音ベースが加わりちょっと厚みがでて広がりが感じられて、かと思いきや井ノ原くんパート「So tell me what you like」からまたベースがなくなり、息を潜めたようなサウンドの印象になる。こういう、各シーケンスのカラーリングが絶妙だと思いました。
あと取捨選択でいうとリズムも絶妙。イントロはリズムなしで、歌い出しはスナップ音が間隔のあいたビートを刻む。少しずつ音数が増え、引き摺るような不規則なビートが、「So tell me…」からのスナップで拍に合ったものになり「All For You」後にズシズシと四つ打ちになる。このリズム展開、停滞感からの躍動感!2コーラス目になると、同じメロでも1コーラス目の時と伴奏とリズムが変わるのもとても良い。あと、最後の長い四つ打ちパートで、それまでずっと入っていたボイスがフッと無くなるのが、「パフォーマンスで魅せる時間」という線引きを感じさせて想像が掻き立てられる。ここでガシガシ踊る6人が見える。(追記:バズリズム見ました。めちゃくちゃ踊ってましたね。最高か。)
そんでもって、この最高のサウンドと見事にマッチングしたV6の歌声。チルな世界観から全く浮かない、抑えた歌い方の中での表情の付け方。前シングル収録曲「Right Now」に対しても言ったんですけど、全員の歌声の温度感がある程度統一されていて、故に歌い繋ぎに違和感がなく、それでいて彩り豊かな6人の声でこの曲の世界観を表現しきっているこの素晴らしさ。完成度が高すぎる。その上全編英詞…!そして高難易度ダンス…!!設定盛りすぎだろ…
言いたいこと色々ありすぎるんですけどあんまり言語化できないし長くなるのであと一つだけ。森田剛のラストの「All For You」の「You」が天才のそれ。その意図的な投げやり感、最高にクールで痺れました。センスの塊か。
この文量からお察しかと思いますが、間違いなく今シングル個人的・優勝曲。
M3 Sweet Bitter Rain
また違うテイストの曲が来た。どこか懐かしい、甘いと見せかけて苦さのある、大人を感じさせる曲。この曲、ちょっと昔のV6を彷彿とさせるテイストで、でもその頃では表現し得なかった苦さを、今の6人は歌声で表現できているのだと思います。聴けば聴くほど良い。
聴いてまずやった〜〜〜!となったのがユニゾン。気持ち坂イノのロー成分強め、かつ長岡のエアリー感満載でやわらかく、各所に剛健の甘さが効いた配分になっていてナイス采配!変幻自在なユニゾン最高!と小躍り。個人的に今回の4曲の中で、ユニゾン部門優勝曲。上述した「ある日願いが叶ったんだ」でのユニゾンとはまた明らかに聴こえ方の違うユニゾン。エッジの立ちすぎない、深みのある暖かなユニゾンという感じ。制作陣各位、V6のユニゾンの配合を曲に合わせて色々変えてくれて本当にありがとうございます!この混ぜ加減で変わるユニゾンが大好きだしV6の強みだと思っております。
この曲の、Cメロ〜ラストサビの流れが好きです。「Oh 水たまり…」でリズムがちょっと変わるのが展開するパートとしてとても良い。そんでコーラスとの掛け合い。ここの「透き通る世界に」っていうコーラスはカミセンかな?カミセン+長野くんかな?どうなんでしょうちょっとはっきり聴き取れない。からの、フェイクとユニゾンの掛け合いが好きな身としては大歓喜のラストサビ。坂本くんの伸び伸びとしたフェイクが曲にまた合いすぎている。聴き終わった後に残る余韻が何とも言えず素敵な曲。
M4 NOIZ
ちょっと想像してたテイストと違っておお…!となりました。曲名と最近の音楽性の傾向から、ざらざらとしたノイズが散りばめられた、現代的であまり高低差のないクールめな曲が来ると勝手に予想していたので、意表を突かれた気分です。誤解を恐れずに言ってしまうと、第一印象は「絶妙に青臭くてダサい…!」でした。
焦燥感を駆り立てるような、クライマックス感のあるイントロに面食らったりしつつも、Aメロ〜Bメロ途中くらいまでは普通に聴いていたのですが、「ただ君と、お茶してたい。」っていう部分、この歌詞にまずめちゃめちゃ意識を持って行かれました。「お茶してたいやい」という感じのメロディの取り方含め。というか改めて歌詞見たら句読点ついてる歌詞なんですね。珍しい。この他にも、「コーヒーすすりながら」とか「朝起きて、夜寝てたまには病んで」とか、言ってしまえば違和感にも近いインパクトのある歌詞。個人的なV6のイメージにはあまりなかった、ちょっと斜に構えた感じの歌詞が強烈なインパクトでした。若いというか、青臭いというか。
もう一点、サビでの印象の変わり方。そういうサビになるのか!とこれもまた強烈インパクト。サウンド的にダークめ、ノイズで煽るAメロ〜サビ前から、パッキリとしたリズム感と、低音少なめの音色で若干チープになるこのギャップ。なんでしょう、ドラムの打ち込みの音と、裏で鳴ってるリズム的なシンセのメロディが現代っぽくなさや懐かしさを感じさせるのでしょうかね。
ボーカル的には、この曲の高低差を歌割りで絶妙に表現しきっているな、という印象です。Aメロの剛健のダークめパートとか、坂本くんの2コーラスめのエモコーラス「やめて」「本当みたい」とか。ここ大好きです。ユニゾン的には、キーは高めではありつつ坂イノ岡のロー成分が多めに感じました。
正直まだうまく咀嚼できておらず、個人的には諸手を挙げてこの曲を「大好き!最高です!」とまでは言えない…と思っていたのですが、この文量である。もしかすると既に術中かこれ。ただ、謎の引力があり、パフォーマンス化されるとめちゃくちゃハマってしまいそうだという予感は確かにあります。
今回は特に「All For You」がファン以外の層にも届いていて、V6の音楽性に触れてもらえる機会が少なからずあったように感じられ、一ファンとして嬉しい限りです。この調子で今シングル4曲から入っていただき、これまでに出ている素晴らしい曲たちにも出会って欲しいと願うばかりです。とりあえず公式MVを一通りみてくれ…。
「ある日願いが叶ったんだ」公式MV
「All For You」公式MV
試聴はこちら
V6 『Super Powers / Right Now』感想
改めて、V6の50枚目のシングル『Super Powers / Right Now』の収録曲がどれも素晴らしく、聴いていてものすごく楽しいので、そのテンションのまま各曲についての感想を書き殴っておこうと思います。お察しかと思いますがとにかく賞賛しているだけの無駄に長い文章です。加えて、またしても細かい話になると思われます。それでも興味のある方はぜひどうぞ。
M1.Super Powers
まずは「Super Powers」。ワンピース主題歌ということもあり、とても爽やかで前向きな曲。打ち込みのビートやギター、シンセなどの電子的なサウンドと、ストリングスやグロッケン?などの生楽器。これらの、色々と盛り込んだ豪華で分厚いインスト、そしてコーラスが冒険の高揚感や広がりのある世界観を表現していて素晴らしい。
個人的に大好きなのが、Cメロ「愚かで愛しい僕達の~…」でエレクトロなサウンドのみになり、ちょっと勢いが収束したかと思えば、続く落ちサビ「戦え 最強の~…」でピチカートと生っぽさが感じられるドラム音が残ったインストになるという対比。からの駆け上がり~大サビの開け方!ストリングスの悠々としたメロディラインに広がりが感じられて大好きです。そしてこの部分の坂本くんの、のびのびとしたフェイクがまた素晴らしくてな…。エモい。
あとは、前記事でも少しだけ言及しましたが、なんと言ってもユニゾン!剛健成分が作用しパキッとしていてエッジが強く爽やかで、かつ一人ひとりがちゃんと粒立っていて厚みを感じられる素晴らしいユニゾンに、6人の声とミックスチームの采配に賞賛を贈りたい。グッジョブ…!
歌割りもトニカミ分けで非常に良いですよね。個人的にサビの「失敗も妙に魅力的(チャーミング)」っていう歌詞が、初めて聴いたときにすごく印象に残りました。人間らしくていい歌詞だし、V6が歌うとなんだかとても説得力があるなあと思えて大好きな歌詞です。
M2.Right Now
そして両A面もう一曲の「Right Now」。散々たくさんのV6ファンが言っているんだとは思いますが私も言いたい。清水翔太さんに贈答品を贈らせてくれ。
なんて素晴らしい曲を提供してくださったのでしょう清水翔太さんは…!「Super Powers」との対比も鮮やかだし、何よりまず最初に音質がクリアなCD音源で聴けたときに1番思ったのが、「ミックスが素晴らしい…!!」ということ。
それはまた後述するとして、まずこれまでのV6の楽曲に、これほどアンビエントでダウンビートな印象のものがありそうでなかったような気がする(物凄く曖昧)!という気付きと喜びがありました。こういう曲だと歌唱力がもろに試されてしまうんだと思うんですがそれをしっかり全員が歌い遂げてしまう自担G凄いと思いました。
ボーカルのメロディラインやコーラスにも細かい技術と遊びが散りばめられているなあと思ったし、これ私毎回言ってる気がしますが表現力!静謐で、でも内に強い思いを秘めている、みたいな歌い方が本当に上手い…!聴き入ってしまう。こういう曲を、どのグループアーティストでも歌えるなんてことは絶対にないと思うんですよ。こういった世界観を表現するためには、歌声のトーンというか、テンションにある程度の統一感が無ければならないし、それは表現力も同じだと思うんです。
ちょっと話逸れるかもしれないんですけど、V6のグループとしての歌唱力・表現力の高さを考えるうえでポイントになるのかなと個人的に思っているのが、発声・声の投げ方の緩急。それって多分生まれ持った声と歌い方にもよるんだと思うんですが、なんというか、V6は全員がそのスキルを会得している奇跡のような集団なんじゃないかと思うんですよね。
例えば声の投げ方イメージをざっくり2つ挙げると、球速に多少変化は付けられるものの投球はまっすぐストレート、つまりテレビ音量の上げ下げのように声全体のボリューム調節は出来るが抑揚はあまりなく、スコーン!と声を出す歌い方と、球速を抑えたり変化球を投げたりするように、言葉やフレーズで声の出し方・圧、トーンにも抑揚をつけられる歌い方、みたいな。野球詳しくないのに野球で例えてしまった。
で、恐らくですが前者は後者のような歌い方を会得するのがなかなか難しく、後者は前者のような歌い方もやろうと思えばできるのだと思います。つまり、程度に差はあれ、V6は全員が後者だと。前者が必ずしも悪いと言うつもりはもちろんありません。まっすぐ心に響いてくる歌声にはやっぱり力があるし、その人自身の素直さや真っ直ぐさが歌に表れているようにも感じます。ただ、曲調の幅と考えるとやっぱり後者であるほうが守備範囲を広くできるのではないかと思うのです。しかもグループアーティストで、それが全員に備わっているとなると、強みは相当なものではないかと。そういったことを考えると、「Right Now」はV6だからこそ歌いこなせる曲であると言いたくなる!そういうことです。ご清聴ありがとうございました。
まあまだ語るんですけれどもね。続いてミックスについて。ミックスの何に感動したかというと、インストのメロディや楽器を、アンビエント(ここでは、ぼんやりとした音にして響かせることで空間に馴染んだように聴かせることを指しています)にするかクリアにするかという取捨選択と、ボーカル・コーラスの配置(真ん中にどの声を置くか、右側に誰を置いて左側に誰を置くか…など音の広がりの調整や位置の振り分け)の妙。
声の配置について面白いなと思ったのが、Bメロ部分や、ラストの「小さなサイン~…」部分以降の歌唱とフェイクの掛け合い。大抵の楽曲において、メインのメロディは真ん中から聴こえてコーラスやフェイクは左右、あるとしても、フェイクがメインと同じ真ん中から聴こえる形がとられていると思うのですが、この曲の上述のパートでは、例えばBメロ「触れそうで 触れたくて 知れそうで 知れなくて」っていう歌詞部分のボーカルが左右に振り分けられていて、間に挟まれる合いの手的な坂本くんのフェイクが真ん中から聴こえるという、通常の逆パターンになっているんです。その事で、夕ドロの歌う歌詞部分がむしろコーラスで坂本くんのフェイクがメインであるかのように感じる。というか、続く坂本くんパート「そんな2人だから楽しい」っていうメインメロの聴こえ方が真ん中に戻っているので、Bメロ自体を、ラストワンフレーズを除いて、坂本くんのソロパート+夕ドロによるコーラスとハモリと思うのが正しいのかもしれない。2番のカミセンも健くん+剛准で同様。ここの仕掛けが物凄く興味深いし聴いていて楽しいなと思いました。あと配置の話ではないのですが、ボーカルで言えば「誰にも渡さない」にノイジーなエフェクトをかけるという選択も天才だと思います。
インストに関しては、一部を除いたビートやクラップなどのリズム系と、アクセント的なメロディライン、あとはなんと言ってもピアノがクリアに聴こえるミックスになっています。めちゃくちゃ効果的だなと思って大好きなのが、井ノ原くんの「例えば大切な 何かを失ったとしても」というパート直後のピアノのメロディ。そこまでに登場するピアノはどちらかというと伴奏的な、和音でコードをとる演奏で、音域も目立たない低めの位置だったんですが、その部分だけは数オクターブ上の音域でしかもメロディをとるという…そしてそのフレーズがエモすぎる…!この部分、CD発売前のテレビ初披露パフォーマンスで初めて聴いたとき仰け反りました。
余談ですがパフォーマンス時にここのフレーズで剛健がターンを入れていたのがさらにエモに拍車をかけていて最高でした。音を拾って身体で表現するのに長けた人達なんだなあと思えてここを見る度に胸を打たれる。あと曲とダンスという点で言うと、いわゆる「サビに歌詞がない」構成の曲、ダンスグループにめちゃくちゃハマるなと思っていたのでぶいさんでそれが見れて本当に最高です。その部分を目掛けて歌で気持ちを高揚させておいて、ピークにさしかかると弾けたようにガシガシ踊り、ダンスのみで感情表現をする。まさにV6向けの曲構成という感じ。本当に清水翔太さんには足を向けて寝られない。なので、音楽番組では「Right Now」ももっと見たかったんですけどね…そこはまあしょうがない。
M3.LADY,LADY,LADY / 20th Century
なんて言えばいいんでしょうね。この曲に関しては完全に語彙力が感覚に追いついておらず、うまく言葉で表現できないかもしれません。それでも曲を聴いた第一印象を言葉にしようと試みると、「3人が淡々とこちらに何か語りかけてくるけれど、実はその中で重要なことを言っていて、それを聴き手である私は聴き逃したのではないかと曲が終わった後に焦りを感じる」という感じでした。意味わからんな。
とにかく捉えどころがない。私が初めて聴く曲の歌詞を意味としてでなく音として捉えてしまう傾向にあるにしても、曲の雰囲気と歌声に飲み込まれて歌詞の意味を噛み砕くまでに至れないというか…なんだか洗脳みがあるというか…。トニセンが何かを言っているけど水の膜で隔てられた向こう側にいるから聴こえないという感じ。聴こえてきても拾えた言葉が独特でインパクトの強い言葉(たとえば「ボール紙でできた月」「古い神話 女神像」とか。歌詞も改めて聴いてみると土岐麻子さんの言葉選びがとても秀逸だと思った。)なので余計に謎は深まる、みたいな。うーん余計わかりにくいか。でもなぜかこの曲からは「抑制されている」というイメージが想起されるんですよね。私だけですかねこの感じ方。ただ一つ確実に言えるのは、中毒性が半端ではないということ。
やっぱりこの曲において、伴奏的ではない歪んだギターの存在が明らかに異彩を放っている感じがして、井ノ原くんの「cause you're a woman なんて言葉〜…」というパート前の間奏、バンドサウンドでなく規則正しい電子的なサウンドの中ギターソロが暴れまわっているという構図が本当に面白くて、かつこの部分に一番電子ドラッグっぽさを感じます(褒めています)。
あと歌割りも面白いなあと思いました。特に2番以降。2番に差し掛かってから、坂長が細かく歌いつなぐな〜、やっぱちょっと声似てるよなあこの2人…などと思っていると、あれ?井ノ原くん出てこないな??と気づき、しばらくしても出て来ず間奏明けに登場という流れ。ここの井ノ原くんの歌い方が大変な色気で、それまでの焦らしもかなり効いていて、かなりインパクトがあるなと思いました。
ボーカルも大変素晴らしく、トニセン三者三様の歌い方の違いがよく出ていてものすごく好きです。特に長野くん、なんでそんなに可愛らしく歌うことができる???その歌い方で「見ているよ 聞かせてよ その生きづらさのわけを」などとおっしゃるので、この曲の歌詞の視点を考えたときに、人ならざるもの感を強く感じてしまい「この曲のトニセンは神様視点なのか…?」と考えてしまうわけです。坂本くんが秘めやかに優しく、長野くんが軽やかに可愛らしく、井ノ原くんがザラついた色気で歌い上げる「その 指で 破こうとしてる(んだ)」が最高すぎる。トニセンのこれまでの歩みに思いを馳せたくなるほどのバランスの良さ。
M4.そんな顔しなくたっていい / Coming Century
この曲を聴いてすぐ思いました。かわいい、と。すみません浅はかな感想で…。でも思ってしまったんです。もはやイントロからサウンドが可愛らしくて、それだけでも気分がちょっと軽くなる気がしました。曲調だけでいうと、休日のお昼のような期待感とほのかな気だるさというイメージ。ドライブをする3人を思い浮かべてしまえたほど、しっくりきている曲と歌声。カミセンとバンドサウンドの相性の良さって何なんでしょうね。「テレパシー」も然りですし。こう考えると「Get Naked」から「そんな顔しなくたっていい」の振り幅の大きさがすごい。
関係ないんですが、トニカミ曲が出るたびに私の頭の中のトニセンが「カミセンもこういう曲歌える歳になったんだね〜」としみじみしています。これトニセンが、カミセン曲が出るたびに毎回言ってるイメージなんですが記憶違いでしょうか…笑。
この曲の、ラップとまではいかないものの、メロディに対して歌詞を詰め込んだ部分の歌い方が3人とも上手いなあと思います。メロディの変動も激しいのでかなり歌うのが難しそうだと思うのですが、それを軽やかに表情をつけながら歌うカミセンすごいと思いました。この曲の岡田准一の歌い方、甘い上にお茶目感も出ていてものすごく好きです。「ここからもう一度だけ」の「んもぉいちどだけぇ」っていう歌い方がこの曲の個人的・末っ子ベストソロパートです。歌い方の幼さで最年少を感じるってなかなか珍しいことでは?と思ってニヤニヤしてしまいます。逆に健くんは今回、比較的甘さ控えめで優しさが前に出ている歌い方な気がします。
サビは健くん岡田くんが主旋律、剛くんがオクターブ下という分かれ方になっていて、主旋律がちょっと高めのキーをとっているからか、いつもの2人の声とまた違う雰囲気の声になってます。2人とも張り上げる歌い方でなく、優しい高音の出し方にしている気がして素敵だなと思いました。そして低音の剛くんもまた優しい声で歌っている。この曲において剛くんがずるいのは、散々下ハモで歌ってきておいて、最後の「ああ うぉーうぉーうぉー」だけ主旋律で、しかもソロで歌うところ。これはもう、確実に森田剛の声の甘さでトドメを刺しにきてるんだと思います。制作側やりおる。
めちゃくちゃ文字数が多くなってしまいましたがこんな感じです。とにもかくにも、今回も素晴らしいシングルをありがとうチームV6!という気持ち。もしV6の音楽性を知らずにこれを読んでくださった方がいらっしゃったのなら、シングルA面でなくカップリング曲に彼らの音楽性の真骨頂が見え隠れする場合がむしろ多いということをお伝えしたい。とんでもない曲をカップリングで出してくるぞ!音楽への向き合い方もまた真摯な彼らなので、少しでも気になった方は色々聴いてみて損はないと思いますよ!
公式MV
各曲の試聴はこちらから
V6の音楽は、いいぞ。
V6アルバム『The ONES』感想メモ
これからここに書き残すのは、私にとって、ある種遺書ともいえる文章です。
この記事は、コンサートに参加してライブパフォーマンスを目にする前に、2017年8月9日に発売されたV6のアルバム『The ONES』の、曲とMVのみを見た状態で感じた「今」の印象を書き留めておきたいと思ったので書いています。おそらく、ライブを見たあとに「今」の私はこの世にいないので…というと大げさですが、ライブの後で印象が変わる曲も多々あるでしょうから、忘れる前に書き残しておこうという魂胆です。だから、「遺書」。見た後も見た後でその印象を書き残しておきたいとは思っております。
そんなこんなで近年本格的にV6に落ちた不肖わたくしが、独自の価値観と視点でこのアルバムの感想を書いてみようと思います。対外的な言葉で書いてますがもはや自分用メモです。思ったことほぼ全部書くのでクッソ長いですけど、興味があれば見てみて下さい。
そして書き始めるにあたって、今回のアルバムについてそもそも何も知らないという方には申し訳ないのですが、このアルバムがいかに豪華で類を見ないほど無茶な内容であるかということについては、ここでは詳しく触れずにおきます。それに関してはぜひとも下記掲載のアルバム特設サイトを参照していただくか、道行くV6界隈の人間を捕まえて聞いて頂きたいと思います。「V6のアルバム、どのへんを無茶してんの?」とでも聞けば嬉々として教えてくれるでしょう。
M1.never
幕開け感。MVもダンスのシーンを様々なアングルから撮ったもので、別撮りのメンバーのリップシンクを入れ込むことのないシンプルかつ見応えのあるものになってます。テレビでのパフォーマンス曲も大体はこれだったので、ダンスと強く結びついている印象。ダンスミュージック然としていて、でも耳に馴染みやすい。個人的に、この曲において何が異質かって言うと、パフォーマンスの話になってしまうのですが、フォーメーション。アイドルですから、やっぱり顔が見えるよう全員が前を向いた隊形が普通だと思うんですけど、ことこの曲…というよりV6は、背を向けたり前後の人と被って見えなかったりする隊形が多々あります。でも本人たちは特にフォーメーションを売りにしてる感じはなくて、だから「複雑なフォーメーションに注目!」みたいな謳い方をあまりしない。これはまさに、ダンスグループと言われるV6の職人気質が出ている部分だと私は思っていて、極端に言うと「個々のアイドル性<全体のパフォーマンスの完成度」で、それを当然と思っているような感じ。だから平気で暗い照明とか使って顔を見えなくしちゃう。そういった部分もあり、ダンスを含め、この曲が「V6にしか出来ないもの」になってる気がします。
M2.刹那的 Night
「せつな」「てき」の言葉遊びから始まる独特な世界観。面白い曲の展開だなあという印象。「タンバリン打ち鳴らし…ありのままさらけ出し」のパートで盛り上がっておいて「刹那 night」に戻って落ち着きを取り戻す感じとか。独特でありながらもやっぱりダンスミュージック感があり、「V6ぽくないな」という感想は抱きませんでした。癖が強いけど癖になる曲。あと、歌詞のある曲って大体、聞いた後に何かしら歌詞から感じた感情が残るはずなんですけど、この曲は聞いた後「…何だったんだろう」ってなるような、そんな歌詞の世界観。これに関しては私の読解力不足かもですし、感じ方は人によりけりなんでしょうけど。プロデュースした岡田くん(不思議っ子)の思考回路の深淵を見た気になるような、捉えどころのない曲です。しかし、これをMステで披露すると決めたV6はとても攻めてますよね。痺れます。各方面の反応が楽しみです。因みにリアタイできないので私は録画です。
M3.SOUZO
M4.Beautiful World
M5.Cloudy sky
M6.DOMINO
M7.Round & Round
M8.Remember your love
健くんがラヂオで音源を解禁してくれたあの日の第一印象から決めてました。ってくらいまずメロディがドストライクだった曲。イントロと、井ノ原くんの「woo…」部分からもう好き。流れ的には、ここにきて初めて切ない曲が来て、また一つ、「V6の表現の幅」の中に切ないラブソングが追加されるという感じ。そしてこの曲調でわかる、彼らの感情の込め方の上手さよ!特に、AメロBメロからサビへの感情の高め方。先ほど彼らのユニゾンについて触れましたが、この曲のサビのユニゾンでは、明るさや爽やかさが影を潜め切なさが表立っていて、地声と裏声を切り替えながらの歌い方がさらに優しい響きを生み出しています。個人的には、歌詞にこの曲プロデュースの健くんみを感じます。「飛び立ったロケットは…」のところとか。すごく好きです。この曲はきっと、振りがつくとまた印象が変わるんじゃないかなあと思います。
M9.会って話を
この落差。前曲が現代的で洒落た雰囲気だったのに対し、この曲はどこか懐かしいサウンド。そしてトニセンのぽつりぽつりとした歌い方に感じるポテンシャルの高さ。トニセンほんとそういうとこあるよ…。楽曲提供がキリンジの堀込高樹さんですし、マニアックな層にとても受けそうな曲。この曲のキリンジ臭ほんと凄いですよね。アルバムの流れ的にも、音楽性として振り幅が反対側に行った感があるんですけど、トニセンと堀込高樹さんのタッグという流れでも、前作「不惑」とはまた違う方向に行っているのが面白い。「不惑」では堀込さんは作詞のみ、というのもあると思うんですけどね。にしても「滞った血を 滾らせたい もう一度」からの「会って話したい でも会うのは怖い」の落差である。この曲全てにおける長野博の声・歌い方が好きです。とても好きです。
M10.Answer
「バンドを背負ってシャウトするメンバーが浮かんだ」というところから坂本くんがプロデュースした曲ということもあり、とても熱い仕上がりになっている曲。しょっぱなの坂本くんのフェイクからぐっと引き込まれる感覚です。「ダンスミュージック」ぽさを捨てたV6はこんなにもエモい。この曲もまた強いメッセージ性を感じますね。個人的に面白かったのがサビの歌割。これ、MV見るまでは「フレーズごとにユニゾンの響きが違うけどどういう歌割?」って思ってたんですけど、見てから納得。坂本くんを中心に据え置き、フレーズごとでほかのメンバーが入れ代わり立ち代わりしていたんですね。これに気付いたときは坂本くんの格好良さに痺れました。あんた…やっぱりリーダーだぜ!そしてそんな歌割がラストサビで全員のユニゾンになる。Cメロ~ラストサビにかけてのギターソロでの盛り上がりの後で来る、全員のユニゾンのインパクトの強さ。そこから盛り上がりが最高潮になったかと思えばアウトロはその余韻を残しつつキレイめなピアノで締めています。すごい。
M11.Can't Get Enough
衝撃のシングル。この曲を音楽番組で披露するたびにファン以外の人もざわざわしていたので、V6ファンは「見たか!これがV6だ!!!」とさぞ得意げになったことでしょう。私もです。オクターブで進行するメロディとファルセットがJPOP離れした楽曲を演出しています。前曲「Answer」との落差もまたすごいですね。曲の振り幅が行ったり来たりです。これに関してはダンスやMVについても言及したくて、激しいダンスでなく大人の余裕と色気が溢れるダンスになっています。まいったぜ、これはV6にしかできねーわ、とわけもなく降参したくなるパフォーマンスです。個人的に死ぬほど格好良いと思った部分は2番サビの振り。「Can't Get Enough(満ち足りていない)」と歌っているのでこちらにすがってくる体なのかと思いきや、椅子を効果的に使いこちらを挑発してくるようなこの余裕。普段わちゃついている6人は見る影もありません。強い…!と思いました。
M12.Get Naked
この曲は完全に邦楽離れした雰囲気ですね。アルバム発売前にラジオ等で楽曲の解禁がなかったためにファンに与えた衝撃がひときわ大きかったように思います。カミセンの前作「テレパシー」で「ん~バイバイしなきゃね~カミっこよしよし」とカミセンモンペと化していたファンもこの曲を聞いて「ヒエッ…」と言語能力を失ったことでしょう。私もです。カミセンの歌声と表現力に死ぬほどマッチしています。それぞれのソロの歌い方とサビのオクターブ違いのユニゾンがとても様になっていて、この曲をカミセンのものにしています。これ…もしライブでやるならどんなパフォーマンスになるんでしょうか…。想像もつきません。ただ、目と耳と言語能力を持っていかれるということだけはわかっていますね。ここまで聞き進めたV6初心者はV6の曲の音楽性の広さに加え、トニセンカミセンでまた毛色の違う曲が聞けるということに気付いたことでしょう。この曲層の厚さこそ沼への入り口の一つなのです。
M13.ボク、空、キミ
ヒーリング系V6ここにありという感じ。疲れた時に聞くと心が浄化されていくような、優しく暖かな歌声。歌詞もあってか、何だか泣けてきます。そしてまた一つ広がる表現の幅。優しいバラードだってものにしてしまいます。この曲は特に、ゆったりとした曲調なのでメンバーの歌声が目立ちます。こういう曲調なのにエフェクトがかっているのも面白い。Aメロ部分の長いソロパートを歌う剛くんと井ノ原くんのぽつぽつとこちらに語り掛けてくるような、でも感情の乗っている歌い方は筆舌に尽くしがたい素晴らしさで、岡田くんと三宅くんのBメロ部分は、サビに向かってはいるものの途方のなさを感じるメロディを歌うそのファルセットのやさしさ。展開部の坂本くんソロは大空を思わせるような雄大な歌い方で、間奏後の長野くんパートは転調し壮大になるラストサビ前の美しい余韻を余すことなく表現しています。このソロパートの歌割りもとても秀逸ですよね。V6の音楽を知らない人は、この曲が森田剛のプロデュース曲だと知れば驚愕するでしょう。とにかく聞いてくれ!!と押し売りしたい気持ちでいっぱいです。あと、大橋トリオの曲も聞く私にはとても嬉しいコラボでした。
M14.COLORS
最新シングル曲。それぞれの色で輝こうというメッセージは、彼らが歌うからこそ良いという部分もあると思います。ここにきて一度、大衆の「V6の曲イメージ」にわりかし沿っている曲に戻ってきたわけです。感動のバラードという感じ。ストリングスを使ったサウンドによる壮大さがすごい。この曲と「太陽と月のこどもたち」が両A面となったシングルもまた完成度の高い1枚で、V6の特徴「カップリング曲のクオリティがとても高い」を体現していると私は思います。この曲を王道バラードとするなら「太陽と月のこどもたち」は温もりソング、「GOLD」はほわほわテクノ、「SPARK」はゴリゴリエレクトロという感じの1枚。これはひどいネーミングセンス。聞いていない人には、とにかく聞いて各々感じてくれという投げやり感で強くおすすめします。
M15.レッツゴー6匹
この落差(6曲ぶり2回目)。曲前の全員でのコーラスはとても微笑ましいうえ美しい響きで、いざ始まった曲も楽しい仕掛けが満載。全てにおいてユニゾンで進行するこの曲は、これまでに歌った曲たちのタイトルやそれに関連するもので歌詞がなりたっていて、そんでもってそのことについて「キミは気づいてるかな?歴史ちりばめたこと」って曲の中で言及しちゃうのもお茶目で面白い。歌も、イノッチ撮影のMVでのムービーものびのびとしている感じが出ていてとても良いですよね。聞いていて自然と笑顔になるような、陽のオーラ溢れるV6になっています。ていうかそもそもタイトルからして可愛いですよね。「レッツゴー6匹」て。楽曲解禁前、タイトルだけ見ても井ノ原快彦プロデュースだわこれ、という感じがありました。V6のユニゾン大好き芸人としては、ライブの際に生歌で一曲分、全員のユニゾンを聞けるのが本当に楽しみです。きっと音源とは違う声の配合のユニゾンが聞けることでしょう。
M16.The One
アルバムのタイトルを、ラストでようやく回収です。長い旅でしたね。耳に馴染みやすいこの曲の歌詞、シンプルですがとても説得力があり、かつ「僕ら」をV6とファンあるいはV6のメンバー同士どちらにでも投影できるのがとてもいいですよね。「離れてても 会えなくても 僕らはひとつさ」。これほどアルバム「The ONES」のラストにふさわしい曲があるでしょうか、いや…ない!(反語)この曲で締めるこのアルバム、ここまでの15曲を振り返るとまるで一つのストーリーのように感じませんか。 さながらこの曲は晴れ晴れとしたエンディングです。「会えなくなるけどさよならじゃないよ」感のある歌詞、V6ファンの皆さんの涙腺に直撃したことでしょう。私もです。明るく希望のある曲でも泣かせにかかるV6のみなさんです。個人的にこの曲のメロディが大好きで、サビ前にわかりやすく盛り上がらないところがなんかいい。「共に共に歩んでいこう Be together We are the one」と、これから先、共に歩む未来があることを示唆してアルバム『The ONES』の幕が下ります。
長かったのはこのまとまりの無い文章の方ですね。さぞ読みづらかったことと思います。これだけ書いていても、曲を聴いて感じたこの感情を正確に言葉にできずもどかしいのですが、それを言葉に出来たとしても所詮私の語彙力ですので完全に人様に伝えきることは出来ないのでしょう。共感を得られる感性を私が持ち合わせていたのかも微妙ですし。でもとりあえず、ライブ参戦前に書ききれてよかったです。悔いなし。
もしもこんな拙い自分用メモが、まだV6をしらない誰かの目に入ってその人の興味を引き出せたなら、それほど嬉しいことは無いです。さらに悔いなし。
そして、このような素晴らしいアルバムを「無茶」して完成させたうえ、ライブパフォーマンスでまた一味違うものを見せてくれるであろうV6と、これから先も、「共に共に歩んでいこう」と思います。その第一歩として、私は明日、「今」の私の死地・コンサートへと赴くのです。
筆者:V6初出場の紅白で落ちた新参者。まわりにぶいファンのお友達がおらず、溢れるほどの情熱を胸に抱きしめたまま沈黙してきたが、最近になって140字の制限付きで思いの丈を吐き出し始めた。さながら公害である。今アルバムを聴いて、それでは飽き足らずこのようなものを書くに至った。これを書き上げた翌日にコンサートに参戦することが決まっている。余命残り僅か。